第1章 猫の冒険と女王の憂鬱

1/12
前へ
/29ページ
次へ

第1章 猫の冒険と女王の憂鬱

 猫は、ゆったりと上機嫌に路地裏や家の塀の上を歩いていた。これから自身に降りかかる出来事を知らずに……  猫はゆったりと歩くことに魅力を感じていたし、それを優雅だと思っていた。その猫はこの世界では幸運の白猫あるいは幸運を呼び寄せる猫と呼ばれている。また、こんな噂も囁かれている。その猫と契約を交わしたものはどんな魔法でも使いこなせると。しかし、危害を加えたものには不幸が訪れるという噂もあるがこれはあまり知られていない。その契約を交わせばどんな魔法でも使いこなせるという噂を信じたものに猫は追いかけ回されることになる。 そしてそれは現在起こっている。  ここはレイヴンルースの最大都市クレメンス。普段は平穏な日常が送られているこの街だがこの日は様子が違った。そしてそれはとある事件へと発展する予兆でもあった。  僕は状況を飲み込めず、戸惑っていた。 散歩をしていただけなのに突然少女と2人の男に追いかけ回されることになるなんて僕は想像もしていなかった。 いつものように散歩に出かけた僕は海を見たり、路地裏を歩いたりして楽しんでいたのに後ろからこんな声が聞こえてきたんだ…… 「白猫! やっと見つけた!  早く捕まえなさい! 逃さないでよ? その猫と契約を交わすのは私以外有り得ないんだからね」 2人の男はその少女の命令に答えた。 「了解しました。イザベラ様」 僕はいきなりなんなんだ! なんかよく分からないけど逃げなければならないと瞬時に判断し、逃げることを決めた。 本来であれば、今頃いつも可愛がってくれているおばあさんの所へいきお水を貰うのだが僕にそんな余裕はなかった。 その時僕の目の片隅に飛び込んできたのは光線銃らしきものを構える男達の姿だった。 `僕は絶対君には捕まらないよ?  っていうか3対1って酷くない? それに君みたいな傲慢な女は嫌いだ´ そう誰にも聞こえないように小さく呟くと逃げる速度をあげた。すると銃声が響き、僕の真横を銃弾がすり抜けた。 僕はこの街のことで知らない道は無いほど道を知り尽くしていたので裏道や人が1人入れるかどうかという道を選び、逃げた。そんな僕に痺れを切らしたのか男2人のこんな会話が聞こえてきた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加