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「何故あの子が私の名前を知っていたの!」
そう思わず叫んでしまった。それから私は落ち着かなければと思い直し、今まで見届けていた魔法の鏡の前で一息ついた。なぜ私の名前を知っているかはわからなかったけれど、あの猫が生意気だったことは確かな事だと思っていると兵士が慌てて飛び込んでくる。
「女王陛下! 大変です! 幸運の猫の生体反応が消えました! この国の外へと抜け出した模様です! 急ぎ捜索しますか?」
そう焦ったように報告してきたので私はそういえば説明してなかったな……というか幸運の猫が消えた程度でその取り乱す様はどうなんだろうと思いつつ答えなければならないと思い、私は口を開いた。
「探さなくていいわ。私が逃がしたから、それにあの猫に頼らずともこの国の人々は十分やっていけると私は信じています。それとこのことは極秘にしなさい。下がりなさい」
そう言い放つと兵士は敬礼をし下がった。
けれど、私の憂鬱は消えなかった。なぜなら今日は騎士団長であるセレスティナと警察庁総監であるディランが来るから。そんなことを考えていると侍女の必死に止める声が、聞こえた。そして私はその人物が慎重に扉を開け、最後に油断したのか蝶番がペキッという音が目の前で壊れるのを目の当たりにして嘆息した。
すると、その人物は申し訳なさそうに謝ってきた。
「ごめんなさい、女王陛下……壊してしまいました。」
私は前よりかはましになったから、まあいいかそう思っていると後ろから男の人が追いかけてきた。大変そうだなと思っていると彼は怒鳴った。
「セレス隊長! 貴女また扉壊したんですね? いい加減にしてください! まあ少しは加減を覚えたようですから? いいですけど……それより先に行かないでくださいと言いましたよね?」
私は、また始まってしまったと思った。この2人はいつも喧嘩ばかりしているな……また私が直すことになるのかないつも私が直しているのよね。今日は、直してくれるといいなそう物思いに耽っているとセレスと呼ばれた女性が反論した。
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