0人が本棚に入れています
本棚に追加
間抜けなピザトースト
1
朝。
トントントン、と小気味好い音に目を覚ます。
ベッドの上で思い切り伸びをすると、お腹の上で眠っていたケイマが素早く飛び降りた。
首輪の鈴がチリンと鳴った。
「いきなりナニよ?」
と言いたげな目配せを一つすると、ケイマは鈴を鳴らしながらキッチンへ消えた。
「お、おはようケイマ。てことはアイツも起きたんだな?」
いつの間にか止まっていた包丁の音の変わりにタイチの声。きっとそのうち、
「アサメシーッ!」
って呼ばれる。
いつもの朝。
今日は呼ばれる前に起きようか?
それとも呼ばれても二度寝のフリをしちゃおうか?
そうして起きるシチュエーションを何パターンか考えている内に、いきなり勢いよく布団をひっぺがされた。
いつの間に寝室へ入って来たんだ!?
唖然としていたアタシを見ながら、タイチは布団を抱えた手とは逆の手でアタシを引き起こした。
「あぅ。」
「あぅ。じゃない。アサメシできたよ?食べよう。」
「ふぁーい。」
あくび混じりの返事をして、再び丸くなろうとするアタシの腕を掴んだままのタイチは、そのままベッドから引き摺りだすと、身体をガクンガクン揺さぶりながら
ダイニングへ牽引した。
今日はこういうパターンか…。
最初のコメントを投稿しよう!