間抜けなピザトースト

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2 まだ寝ぼけたアタシの頭には、まだ寝たいと言いたそうに寝室へ向けて髪が跳ねている。 ふむふむ。と、ぼんやりしたココロの中で頷きながらテーブルに着く。 ワカメと豆腐、ネギに大根。 白味噌のおみおつけ。 卵にレタス、トマトにジャガイモ、人参、キュウリ。 エッグサラダ。あ、コーンも。 3枚切りのパン。マーガリンにハム、マヨネーズ、チーズ、ケチャップ。 ピザトースト。 ふむふむ・・・ん? 「アレ?ケチャップ?」 おかしいな、と思ったアタシの顔を見て、タイチは 「ああ、そうだ。ピザソース切れてたんだよ。今日買っておいてくれないか?」 「えぇ~…ッ!…アタシの楽しみ…」 アタシの好きなピザトースト。 アタシの好きなピザソースを切らすとはっ! 「主夫失格であります!」 「誰が主夫だよ!?居候の癖に何言ってやがる!」 「うっ!痛いトコロを・・・」 まったく。と憤慨しながら自分の朝食の後片付けをするタイチ。 アタシはテレビをつけて、足元でゴロゴロしているケイマを抱き上げた。 「ケイマちゃ~ん。人参たべましゅかぁ~?」 「猫に食わすな!お前が食えよ!」 カチャカチャと皿洗いしている手を止めて、タイチが突っ込んでくる。「言っただけでしょう?そんなに目くじら立てるコト無いじゃん。」 イチイチ真面目なヤツ。からかい甲斐があるからイイけどさ。 「早く食べてくれよ?片付かないから。」 お前は母親かっ! 「はいはーい。じゃね、ケイマちゃ~ん。」 チリン。チリチリチリン。 床に降ろすと、身震い1つして、ケイマは少しだけ開けた窓からベランダへ出て行った。 あ、凄くいい天気。 さんさんと照らす秋の朝日が、部屋の温度を少し上げている。 カーテンを揺らして吹き入れる風は涼しげ。この秋風もすぐに木枯らしに変わるんだろうな。 ぽかぽか陽気に秋の風 猫の髭を撫でつける チリンと首輪の鈴が鳴ったら それはきっと 秋の終わり 冬の始まり ピザソースの無い、なんとも間の抜けたピザトーストを頬張りながらふと思い至る。 「あ、湯タンポ買わなきゃじゃん。」 「ストーブの灯油、どうする?」 「コタツの布団、何処にしまったっけ?」 「そろそろお鍋が食べたいねぇ~」 寒がりな居候。冬支度を懸案中。 ー間抜けなピザトーストー
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