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 ……私が何をしたというのだ。私は、ただ産まれてきただけに過ぎぬ。  深い森を抜け、崖を這い上がり、疫病の沼を越え……何故、このようなことになったのであろうか。分からぬ。否、分かってはいるが納得ができぬ。……ともかく私は帰る場所を失った。生みの親にも見放され、兄弟たちは私に刃を、その牙を、突き立てようと目を光らせている。  私はさながら、狩人に狙われる獣であった。  だが獣とて、ただ人に狩られるのを待って呆然と過ごしているのではない。獲物を獲り、死肉を漁ってでも、生きようとしている。生まれてきたことが罪であろうとも、まだ、生きてみせようという気力が、私にはあった。  ある日、暗い洞窟の中で私は、一体の骸と出会った。そいつは、頑丈そうな鎧を全身に身につけていた。……息絶え床に転がるその骸を私は凝視した。  これは人間だ。しかも、人間にしてはなかなかの巨漢である。  あの時、人の世は、強大な闇に襲われていた。この世を支配し消えぬ暗黒をもたらそうとする魔王が君臨し、まさに、恐怖の時代の渦中にあった。     
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