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私は、首を横に振って、ノーの意を示した。そして、何も言わぬ彼女の顔の、その仮面に、手を伸ばす。 「おやめください」 彼女が語調を強めて言い放った。私は、少し驚いて、手を引っ込めた。 「これは魂の安息のための、墓守の装束です。外すわけにはまいりません」 私は、少し視線を下げ、自らの軽率な行動を恥じた。  徹底して肌を露出せぬようにしたその格好には何かしら意味があるということのようだ。そう言われれば、俄然興味も湧く。  しかし今は、まずは私のことを、そしてこの場所のことを、知らねばならぬ。私が再び視線を上げると、彼女が言った。 「驚かせてしまい、申し訳ありません。……たしかに、貴方には、全てを知り……そして選択する権利があります。然るべき場所へ、お連れしましょう。……ではくれぐれも、そこから動かぬように」 まるで心を読まれているようだ。彼女は祈るように両手を合わせる。 「さあ、目を閉じて」 言われるまま、私は目を瞑った。これは一体、どういった儀式なのであろう。お連れする、などと言っていた。どこへ? 頭の中で、憶測が飛び交った。  ……数秒間の静寂の後、「もう、いいですよ」と彼女の声がした。私は、ゆっくりと、瞼を開いた。  なんと、そこは美しい花園であった。     
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