???????

6/8

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「ここは、弔いの花を育てる花園。『この世界』の中心であり、出入り口となる場所です」 辺り一面に、墓に供えられていたあの青い花が咲いている場所である。気分が和らぐような、優しい香りが充満しており、空の星々の輝きも一層強いように見える。彼女は私に、ついてくるよう指示すると、花をかき分け歩きながら言った。 「私は『ノエルの墓守』。この世界の守り手です」 彼女の口調は極めて淡々としている。しかしながら、突き放されるような冷たさは無いように感じる。  歩いているうちに、私はようやく、彼女の右手に握られている、墓地にいた時は無かった「それ」の存在に気づいた。白銀の装飾が施された、黒い直剣である。乙女には似合わぬ、重々しい形質が見て取れる。 「墓守の剣です」 私が気にしていることに気づいたのか、彼女はそう言った。この墓地の墓守とは、剣を振るわなければならぬ役目を担っているのであろうか。  やがて、私たちは、ある場所にたどり着いた。 「ここが祭壇。この世界の出入り口……」 花畑の中に、四角い石で作られた簡素で小さな祭壇があった。  祭壇が出入り口というのは奇妙に思えるが、しかし今までのことを考えれば、納得のいくことでもあった。この墓地が何かしらの異界であろうことは、明白であったのだから。     
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加