神殿の事情

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 遺跡に残る怨念を苗床にして魔物が誕生することはよくあり、最も有名なものはスケルトンだろう。神官が遺跡全体を祝福の力で清めなければ彼らが無限に湧き出て調査や探検どころではない。そのために新しい遺跡が発見されれば多くの神官が借り出されるのが常となっている。  本来なら遺跡の所有権は国家にあり、騎士団が行うべきであるが罠や魔物への対応に慣れている冒険者ギルドがその代役となって久しい。 「スケルトンの数がやたら多いそうで霊廟か何かが置かれている可能性があります」 「なるほど。それは一大事ですね……」  補佐役は何かを思案しているらしく、目がきょろきょろと動いた。  対してリーゼは遺跡に彷徨う哀れな霊たちを慮った。 「では、早く魂を浄化して差し上げなければ」  神官長補佐はそれに頷き、レイアスを見る。 「では、遺跡祓いの人員を決めなければなりませんな。レイアス様、その前に一つ伺いたいのですが」 「なんでしょうか?」 「通常なら遺跡で財宝の類を見つけた場合は発見者と帝国で利益を折半することになります。しかし遺跡祓いで参加した神官はこの利益に与らない。これはご存知ですか?」 「え?」  彼は予想外の質問に面食らった。 「ええと、はい。聞いたことはあります」     
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