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「神官が金策に走るなど良いことではありませんが、神殿が崩壊寸前ということで街の住人も不安になっているそうです。こういった事情ですので……」
神殿で起きる現象を吉凶の前触れと思う人々は多い。威厳と畏敬を集める機関だからこそわずかな問題が人々の不安を煽る。自分たちではなく市民のために緘口令を敷いているわけだ。
ベネロという神官も難しい立場なのだなと彼は思った。
「わかりました。ギルドマスターにかけあってみます。神官のおかげで俺たちも調査できるんですから問題ないと思いますよ」
「ありがとうございます」
補佐役が頭を下げ、リーゼもやや遅れて続いた。
お辞儀が終わると老いた男の無表情と少女の不安顔が並んでいた。
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