神殿の事情

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 パキッと足元で乾いた音が鳴った。  スケルトンの残骸を踏んだせいだ。気味の悪い感触と音だがどうしようもない。遺跡の新たな区画はスケルトンや幽鬼がぞろぞろと出てくるし、通路はそれほど広くないので避けることもできない。同行する神官たちは祈りの言葉を唱えて死者の魂を鎮める。 「大丈夫ですか?」 「ああ」  後ろからのリーゼの問いにレイアスは努めて明るく答えた。  実際、彼女が創った聖火は普通の松明より明るく、しかも照らされた魔物たちは動きが鈍くなるのでレイアスは普段より楽に戦えている。 「この数だとやっぱり霊廟があるんだろうね」 「ご無理を言ってすみませんでした」 「いいや。君のおかげで本当に助かってるよ。報酬はもらって当然だ」  彼は心底そう思う。  神殿側の事情を話すとギルドマスターであるガナンもあっさりと了承してくれた。遺跡祓いにおける神官の報酬が低すぎると彼も感じていたらしく、内密に追加報酬を約束してくれた。 「けっこう進んだはずだ。そろそろ部屋があってもいいはずなんだけど……」  レイアスは罠に注意しながら慎重に足を進める。  その足がぴたりと止まった。 「どうかしましたか?」 「静かに。何か来る」     
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