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リーゼが本当に古代の何者かに波長が似ているのか、それとも死者の知能低下が招いた錯乱なのかは誰にもわからない。
「私、どうしたらいいでしょうか?」
「うーん……」
レイアスは悩んだ。
一つ思いついたのはリーゼにこのまま姫の振りをさせてこの戦士にこの世を去るよう伝えることだ。上手くいけばこの区画の構造も聞き出せるかもしれない。真実を伝えた場合、あまり良くない結果を招く可能性が高い。
それをリーゼも察したのか、彼とミイラ戦士を何度か見て苦悶の表情をとった。
「レイアスさん……私が……その御方の……」
「待ってくれ」
彼は言葉をさえぎった。
嘘偽りを神官が好むはずもない。強い思念を残した死者を騙すことはなおさらリーゼは望まないだろう。面倒なことになるとわかっていたが、レイアスはあえて困難な道を選んだ。
「リーゼ、君が正しいと信じることをするんだ。俺はそれについていく」
リーゼは目を大きく開き、そして感謝を示して哀れな死者を見た。
「そちらの御方。名のある戦士とお見受けしますが、私はあなたが知るお姫様ではありません」
「なん……と……」
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