神殿の事情

9/19
前へ
/19ページ
次へ
「私はレイグラードの神官長リーゼ。この遺跡を浄化すべく参りました。貴方様が生きた時代からはるかに時が過ぎ、この地はすでに無人です。貴方様もご家族やご友人の元へ逝かれることを強くお願い申し上げます」  それから君の悪い沈黙がしばらく続いた。  かちゃかちゃと戦士の腕が震え、やがてそれは全身に広がった。 「この地が……すでに滅んだなどと……世迷言を……」  戦士は立ち上がり、殺気が膨れ上がった。 「無礼な侵入者め……今ここで成敗してくれよう……」 「お待ちください!私たちは……!」 「リーゼ、下がるんだ!」  予想通りの展開だとレイアスは思ったが、後悔はない。  この戦士を止めるには力尽くで戦闘不能にするしかない。そう判断して付き添いの神官たちを後ろへ下がらせ、剣を構えた。レイアス流の非常に荒っぽい遺跡祓いが始まった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加