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晴海は男をちらっと見る。
男は動きやすそうなジャージ姿をしており、帽子を深く被っているので、どのような顔なのかはよくわからない。
不可抗力とはいえ、こんな顔もよくわからない見知らぬ男とあんな体が密着するような体勢になるなんて本当に最悪だと晴海は思った。
トランプカードを全て2人で拾い終わると、男は「本当にすみませんでした」と小さな声で言い、階段を昇っていく。
晴海はイヤホンを耳にして、音楽を聴きながら思う。
遅刻は確定だ。一刻も早く今の最悪な出来事を忘れよう。
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