34人が本棚に入れています
本棚に追加
そう思ったが、誰にこの不機嫌さをぶつけて良いのか分からなくて、結局また丸くなる。
青い海と同じ色の空から眺める世界は、どこまでも広く・・美しい。
もし、ここにぽっかりと漂うはぐれ雲のように、一人きりでいたら~
いつまでも、いつまでもここに留まりたいと願うのかもしれない。
クリスは膝の上に置いた・紅・を抑えつつ、そんな事を思った。
ただ単純に景色を楽しめることが、普通は嬉しいのだろうけれど。
なぜだろう??
気持ちにストップがかかるのは。
それは、きっと日常生活から離れてしまっているから。
普通の女子高生ではなく。
任務に就くガーディアンとして、ここに座っている事がその証拠。
ガーディアン~守護者~依頼人を護る者。
ガーディアン協会から任務の打診を受けて、各国へ派遣されるのが通常なのだけれど。
今回は少し変則的だった。
「ああ~っと、ほら! あそこですよ! 見えますか?あの島です!」
前の座席に座るピエールが振り返り、ヘッドホン越しに叫んでいる。
ヘリに乗ると、否が応でもその騒音に付き合わされることになる。
今回は案内人が道中、いや空中から
曖昧な説明をしてくれるものだから、かなり疲れてしまった。
依頼者から派遣されたという案内人ピエールとは、つい先日会ったばかり。
最初のコメントを投稿しよう!