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先週末に北海道で開かれた太平洋・島サミットでだった。
会場となるホテルに数人のガーディアンと共にクリスも派遣されていた。
ガーディアンは表だって要人を警護するSPとは違い、
あくまで目立たぬように行動するよう、依頼人側から要求される。
今回はロビイストとして日常の服装~クリスの場合は高校の制服姿のまま~
ホテル会場のロビーにあるソファで寛いでいた。
少し、緊張感に欠けていたかもしれない。
なにせ、日本では外国人によるテロ行為が起こった事はないし、
今回も事前にそのような情報は入っていなかったから。
そんな状況で、ピエールに出会った。
彼はかなり目立つ色合いの服装で、それが制服だと気付くまで少し時間がかかった。
『ありえない!』
日本国内の何処の学校も採用しないであろう、派手な色彩の制服。
目の覚めるようなヴァイオレット・ブルーを基調とした膝まであるロングブレザーと
同色のスラックス。おまけにサイドに真っ赤なラインが入っている。
グリーンのYシャツに金色のバラ刺繍が施された真紅のネクタイ。
クリスは思わず、制服ではなく彼自身を凝視してしまった。
なぜなら、それを着こなしている学生がまるで赤レンガのような髪をしていたから。
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