あおい、あおい。

6/7
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 頭の中で?それとも向こう側から?ザー、っという、一昔前のテレビのような酷いノイズが鳴っている。それはまるで雨の音のようにも聞こえ、ますます私を震え上がらせた。響く――ただただ、響く音色。見えてはいけないものが見え、聞こえてはいけない音が聞こえている。――これ以上触れてしまったら戻れなくなる。逃げなければ。そう思うのに――体は覗き穴に固定されたかのように、動いてくれない。  やがて。  ずるり。  何かが、這うような音が聞こえて。  視界を、長い長い黒い髪が、過った。まるで影のような長い、長く、長い――。 『ひいいいっ!!』  そして、眼。  誰かの眼が、視界をいっぱいに、塞いで。  腰を抜かした“私の耳元で”その声はしたのである。 『 タ ス ケ テ 』
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!