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霊夢が障子を閉めると、待っていたかのようにミスティアとリグル、人喰い妖怪のルーミア、それに名無しの妖精(通称:大妖精 or 大ちゃん)が現れた。
大ちゃん「チルノちゃん、やるなら今だよ!」
大妖精に呼ばれてチルノがやってきた。
チルノ「さあ、もう誰にも邪魔させないわ!みんな、よーぉく見張っといてね!」
大ちゃん「うん、分かった!」
リグル「オッケー!」
ミスティア「了解!」
ルーミア「見張るのかー!」
大妖精とリグルは地上を、ミスティアとルーミアは上空を見張っている。
チルノは賽銭箱によじ登って中を覗いた。
リグル「どう?」
チルノ「うーん、暗くてよく見えないわ」
もう一度見てみる。小銭らしきものは何一つ入っていなかった。
チルノ「何も入ってないわね…」
チルノが賽銭箱から降りて首を振るジェスチャーをした直後、どこからか赤色の弾幕が飛んできた。
チルノ以外はとっさによけたが、気づくのが遅れたチルノは回避できず当たってしまった。
大ちゃん「チルノちゃん、大丈夫!?」
チルノ:(×∀×){ウーン、アタイッタラオバカサンネ!)
大ちゃん「大変、チルノちゃんが⑨じゃなくなってる!」
大妖精は雪女のレティ・ホワイトロックと協力してチルノを担ぎあげると大急ぎで神社を後にした。
~~~~
間もなく、博麗神社の上空に紅魔館の主で吸血鬼のレミリア・スカーレットと妹のフランドール・スカーレットが飛来してきた。
最初は紅魔館の庭で弾幕ごっこをやっていたが、移動しながら戦っているうちにここまで来てしまったのだ。
レミリア「フラン、そろそろ降参したらどうなの?」
~呪詛「ブラド・ツェペシュの呪い」~
フランはそれを難なくかわすと言った。
フラン「アハハハ。まだまだ降参しないわよ、お姉さま♪」
~秘弾「そして誰もいなくなるか?」~
―――ズドーン!!
眩い閃光とともにもの凄い爆音が響き渡った。
アリスとパチュリーは声を出さず、じっとしている。
すると居間の障子が開き、霊夢が出てきた。
霊夢「うるさいわね、一体何なの!?」
縁側に出てみると、上空に二人の吸血鬼姉妹が。
霊夢は、後を追ってきた紅魔館のメイド長・十六夜咲夜と説得に当たった。
霊夢「アンタたち、それ以上うるさくするとまとめて退治するわよ!」
咲夜「お嬢さま、妹さま。これ以上は危険です!おやめ下さい!」
レミリア「チッ、仕方ないわね……。フラン、ついてきなさい!」
フラン「言われずとも!」
スカーレット姉妹はどこかに飛んでいった。
咲夜もまたどこかへ去っていき、辺りは再び静寂に包まれた。
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同じころ、縁側の隅っこ。
パチュリー「そろそろ戻らないと面倒なことになるから帰るわね」
アリス「ええ、気をつけてね」
パチュリーは気付かれぬよう忍び足で参道まで出てきた。
だがそこで紅魔館の門番、紅美鈴と鉢合わせ、さらには頭をぶつけてしまった。
美鈴は驚いて元来た道を引き返したが、また戻ってきた。
美鈴「なぜパチュリー様がここに!?」
美鈴は気を失ったパチュリーを担ぐと大急ぎで石段を駆け下りていった。
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霊夢「ふう、やっと静かになったわね」
ホッと一息ついた霊夢は、縁側の隅にアリスがいるのを見つけた。
霊夢「ん、あれはアリス……?」
しばらく見ているとアリスも霊夢に気づいた。
霊夢が声をかけようとしたとき、恥ずかしさで顔を真っ赤にしたアリスが逃げていった。
霊夢(……何だったのかしら?)
霊夢はふと思い立ち、賽銭箱の中を確認した。
霊夢(……相変わらず空っぽね。なんだか泣きたくなるわ。)
霊夢は大きなため息をついた。
霊夢「さて、今度こそ本当に寝ましょう。お休みなさい」
霊夢は再び居間に上がって障子を閉めた。
ーーーこうして、博麗神社の短くも長い春の一日は終わったのだった。
(春編・完)
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