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魔理沙たちが帰って間もなく、神社の上空を「幻想郷のチンドン屋」ことプリズムリバー三姉妹が通りかかった。 あまりのうるささに堪りかねた霊夢が表へ飛び出したが、三姉妹はすでに通り過ぎたあとで境内には誰もいなかった。 霊夢「はぁ…」 ため息をついたそのとき、誰かが石段を上ってくるのに気づいた。 妖怪の山の頂にある守矢神社に住む軍神の八坂神奈子(やさか-かなこ)と同じく土着神の洩矢諏訪子(もりや-すわこ)、そして風祝(かぜほうり)にして現人神の東風谷早苗(こちや-さなえ)だ。 早苗「よいしょ…っと!」 早苗は大きな桶を持っており、霊夢の前に来るとそれを地面に置いた。桶の中にはキノコやタケノコなどの「山の幸」がたくさん入っている。 霊夢「……それは何?」 早苗「きのう山を散策していたら妖怪たちに食材をもらったので、そのおすそ分けにと思って持ってきたものなんです」 霊夢「“おすそ分け”たって結構な量よ?」 神奈子「その点に関しては無問題(モウマンタイ)よ。これでもまだウチに10kgはあるかしら」 早苗「それに霊夢さんには日頃から何かとお世話になっていますからね」 霊夢「じゃあ、これはもらっていいってこと?」 神奈子「ええ、そういうことよ」 霊夢「そう、そしたらありがたく頂戴するわね。これで食材費がだいぶ省けるわ♪」 桶の重さもいざ知らず。 霊夢は軽々とそれを持ち上げると奥へ運んでいった。 霊夢の行方を目で追ったのち、神奈子と早苗はひそひそ話しで何かを確認しあう。 やがて霊夢が戻ってきた。 神奈子「それでね、実はお願いがあるのよ」 霊夢「はぁー。やっぱりそうだったのね」 神奈子「ええ…。守矢神社の鳥居、まだ白木のままでしょ?あれを朱色に塗って、ついでに鳥居と社殿に防腐剤も塗りたいと思っているのだけど、私たち三人だけじゃ人手が足りないのよ」 早苗「そこでぜひとも霊夢さんにお力添え頂きたいと思いまして…」 霊夢「やれやれ…(汗)」 『“美味しい話しにはワケがある”とはよく言ったものだ』と霊夢は思った。 霊夢「拒否した場合はどうなるの?」 神奈子「理由もなく断った場合は…そうね。霊夢に蛇の呪いをかけてあげるわ」 早苗「それでは私は蛙の祟りをかけますね。フフフ…」 黒い笑みを浮かべながら近づいてくる二人の雰囲気に押され、霊夢はじりじりと退却する。 神奈子&早苗「さあ、どうするの(ですか)!?」 霊夢「……逃げる!」 神奈子&早苗:Σ( ̄□ ̄;) 霊夢は脱兎の如く逃げ出した。それを追う神奈子と早苗。 やがて埒が空かないと判断したのか、二手に別れることにした追っ手の二人。 それを察知した霊夢は縁側にいた萃香にジェスチャーで隠れていることを漏らさぬよう指示し、拝殿の奥に隠れた。 さて、神奈子と早苗は二手に別れて霊夢が逃げ込んだ縁側に来たものの、そこには萃香の姿しかなかった。 早苗「あれ?萃香さん、霊夢さんがこっちへ来ませんでしたか?」 萃香「……いや?知らないねえ(汗)」 萃香はバレやしないかと冷や冷やしていたが、幸いにも神奈子たちは気づいていないようだ。 神奈子「だとすれば一体どこに隠れたのかしら…?」 早苗「分かりません」 神奈子「うーん、仕方ない。この次来たとき説得しましょう。萃香、ありがとね」 早苗「ご協力感謝します!それでは」 萃香「あいよー」 二人は萃香に礼を言うと表に戻り、いつの間に神社へ来ていた河童の河城(かわしろ)にとりと楽しげに雑談していた諏訪子を連れ、山に帰っていった。
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