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早苗らが去ったあと、縁側に河童の河城(かわしろ)にとりがやってきた。 また、にとりとほぼ同時に向日葵(ひまわり)の妖怪・風見幽香(かざみ-ゆうか)も来た。幽香は桜の木の枝に座り、木の上から優雅に花見を楽しんでいる。 ~~~~ にとりは萃香を見るや否や彼女に向かって恭しくお辞儀した。 にとり「萃香さん、ご無沙汰してます」 萃香「だからそんな畏まらなくていいってば」 鬼は全ての妖怪を統べる存在である。つまり、河童のにとりからしたら鬼である萃香は上司のようなものだ。 堅くなってしまうのも無理はない。 霊夢「それで今日は何の用?」 物陰から出てきた霊夢が言った。 にとり「これを霊夢に渡そうと思ってね」 にとりは背中に背負ったリュックから茶色い魚籠(びく)を取りだして霊夢に渡した。 霊夢が魚籠の中を覗き込むと魚が沢山入っている。 霊夢「あら、こんなに一杯どうしたの?」 にとり「今朝、川で釣ってきたんだ」 こんなに釣れたよ、と両手を広げてたくさん釣れたことをアピールする。 霊夢「へえ、そうなの。……ハッ!」 霊夢が突然、何か閃いたような素振りを見せた。 萃香「どうしたのさ?」 霊夢「この魚を餌に私に何か手伝わせて、もし私が拒否したら蛇や蛙の祟りをかけるだとか、そんなんじゃないわよね?」 にとり「……?何のことか分からないけど、そんなあくどいことはしないよ。なんたって河童と人間は盟友(ともだち)だからね」 にとりは「河童がそんなことをするはずがない」と強く否定した。 霊夢「そう…ならいいわ。ありがとう」 しばらくすると、にとりがハッとした表情になった。 萃香「どうしたんだい?」 にとり「用事を思い出した!すぐ帰らなくては…。萃香さん、霊夢、失礼します!」 霊夢「それは残念ね……。また来なさいよ?」 にとり「うん、ありがとう。それじゃ!」 にとりは慌てて妖怪の山に帰っていった。 にとりと入れ替わりで死神の小野塚小町(おのづか-こまち)がやってきた。 小町は神社の石段に座り込むとそのまま昼寝を始めた。
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