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―――夕方。
霊夢が縁側に戻ってくるとまだ萃香がそこにいた。
霊夢「萃香、もしかしてずっとそこにいたの?」
萃香「お構いなくー」
溜め息を一つ吐き、霊夢は室内に戻っていった。
~~~~
しばらくして、拝殿の前に再び魔理沙とアリスが姿を見せた。
魔理沙はよそ見をしていたために賽銭箱の前で立ち止まったアリスに気づかず、ぶつかってしまった。
アリス「何するのよ!痛いじゃない!(怒)」
魔理沙「すまんアリス。私の不注意だぜ(汗)」
アリス「はあ…。今後は気をつけることね。ほら、行くわよ!」
幽香(あの子たち、見ていてなかなか面白いわね…。)
裏口へ回る二人を木の上から見ながら幽香は忍び笑いをした。
~~~~
縁側では萃香が寝ていた。
魔理沙が呼びかけるも萃香が起きる気配はない。仕方ないので、神社のどこかにいるであろう霊夢を呼んだ。
霊夢「呼んだ?」
魔理沙「おう、またイイもん持ってきてやったぜ」
魔理沙が取り出した物はまたしてもキノコだった。
だが、霊夢はそれを突っぱねる。
霊夢「嫌よ、どうせまた変な副作用が出るんでしょう?」
魔理沙「いやいや、今度こそ大丈夫だ!」
それでもなお信じることが出来なかった霊夢はアリスにキノコの安全性を確かめた。
アリス「ええ、魔理沙の言うとおり今度は大丈夫なはずよ」
霊夢「アリスがそう言うなら大丈夫よね。それじゃあ、そのキノコを私にちょうだい」
魔理沙からキノコを受け取る。思った以上に量があった。
霊夢「やれやれ、いっぱい採ってきたのね…(汗)」
魔理沙「まあな。でも沢山あったほうがいいだろう?」
霊夢「それもそうね。さてと、今夜は何にしようかしら……?」
霊夢は夕食を何にするか、思案を始めた。
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ーー
ーーー
霊夢が夕飯を何にしようかと考えを巡らせていた頃、神社上空を飛んでいた小町の上司で閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥが石段に座って寝ている小町を見つけた。
映姫(やれやれ…。私もとんだ部下を持ったものです。)
小町の後ろに降り立ち、声をかける。
映姫「小町、起きて下さい」
小町:(-.-)zzZ…。
映姫「小町、起きなさい!」
語勢を強めて言ったのが功を奏したのか、小町は目を覚まして後ろを見た。
小町「………こんなところに四季様がいるわけないよね。だって四季様はあたいと違って忙しいんだもん」
……が、また寝てしまった。
映姫は咳払いを一つしてから大声で叫んだ。
映姫「……小町ぃ!!」
小町「ひゃんっ!?」
小町は驚いて飛び起きた。
小町「げえっ、四季様…!?」
映姫「またこんなところでサボっていたんですね!今日という今日は許しませんよ!」
小町「夢の中できちんと仕事してたじゃないですかー!」
映姫「貴女の夢のことなど知りません!こら、待ちなさい!」
逃げる小町とそれを追う映姫。この構図はいつ見ても見飽きない。
境内を何度もぐるぐる回った二人はついに神社を飛び出して行った。
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それを境内にある桜の木の上から見ていた幽香。
幽香(ククク…。あの二人も随分と面白いわね。)
幽香はしきりに人里の方向を気にしている。いったい何がそんなに気になるのか。
幽香(さて、そろそろ帰りましょう。)
幽香は去っていった。
ー
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ーーー
三度、縁側。
霊夢はまだ夕飯のメニューを考えていた。
霊夢「キノコもあるし、魚や山菜もある。うーん………鍋にしようかしら」
鍋と言ったとたん、眠っていた萃香が飛び起きた。
萃香「鍋だって!? やったね♪」
霊夢「ーーーと思ったけど、誰かさんがタダ飯食べようとしてるからやめようかしら」
萃香「いやいや、明日はちゃんと手伝うからさ。それにほら、お酒もあるし?」
萃香は酒が無限に湧き出てくるという不思議な瓢箪を霊夢に見せた。
霊夢「そう…ならいいわ。あんたたちも食べていくでしょ?」
魔理沙「ああ。もちのろんだぜ!」
アリス「そらそうよ」
霊夢「“そらそうよ”って岡田彰布か!……まあいいわ。そしたら待っててちょうだい」
アリス「霊夢、私も手伝うわ」
霊夢とアリスが台所に向かうのを見届けると、魔理沙はごろんと横になった。
しばらくしてアリスが戻ってきた。
アリス「人手が足りないから手伝ってくれる?」
魔理沙「あいにくだが、私は運び屋やって疲れてるから手伝えないぜ」
萃香「私も呑み疲れてるから手伝えないよ」
『ねー!』と2人は示し合わせたように笑った。
アリス「まったくもう…」
大きなため息をつき、アリスが再び台所へ戻っていった。
やがて魔理沙は仮眠に入り、萃香は廊下をうろつきはじめた。
魔理沙が眠りについて数十分後、台所から何とも言えない美味しそうな香りがしてきた。
萃香(早く食べたいな♪)
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