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その日、日直だった大翔くんの帰りに合わせて、私も教室に残ることにした。 教室は人気(ひとけ)がなくなり、今では二人きりだ。 いろいろな仕事を終えた大翔くんが自分の席で日誌を書いているのを、その前の席に座って眺める。 今日、初めて感じた大翔くんの温もりは熱いくらいで、私とは全然違うんだと実感させられた。 バレーボールをやっている私の体は、他の女の子に比べると柔らかくないはずだ。 だけど、それよりもずっと、大翔くんの体の方がしっかりしていて、たくましくて、普段の印象とはまったく違った。 そんな自分との違いに、私の心臓はまた大きく高鳴る。 「日南子」 「なに?」 「今日はごめん」 「ううん、私が悪かったから」 「日南子はかわいい」 「えっ」
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