弐師城 攻防戦

6/270
前へ
/734ページ
次へ
何度も屋敷に訪ってきては 母に求婚を繰り返していた。 確かに李公利は容姿端麗な男だ。 しかし、その実は狷介で狡猾な男だ。 母を純粋に好いていたのではなく 父が遺した巨額の私財。 そして、英雄霍去病(かくきょへい)の妻を娶ったという 体の良い事実が欲しいだけである。 幼いながら霍景は、 李公利の薄汚い野心を見抜いていた。 母もそれを見抜いていたからこそ 李公利を拒絶していた。 それだけでなく 母の心の中には、今も父しか映っていない。
/734ページ

最初のコメントを投稿しよう!

251人が本棚に入れています
本棚に追加