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かつて炯眼の人であった劉徹【りゅうてつ】も、今はその眼が曇っているという
ことが、此度の大宛遠征でよく理解出来る。
「それに・・・・軍の質は、風紀はかなり乱れているようなのです」
「というと?」
霍景が訊いた。
「城郭の人々に、何かしらの因縁をつけては、家財などを兵士達が奪い去っていくとか。
城郭の人々は、酷く怯えているという印象でした」
楽鵬は落胆するように、小さく溜息を洩らした。
「李公利は、兵士の横暴を咎めてようとはしないのか?」
高刹が、楽鵬に訊いたが
霍景はすぐさま割って入った。
「李公利は、民の事などどうでもいいと思っている。関心があるのは、己の地位と財産だけさ」
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