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「どんな顔やねん、それ」
「泣くのを我慢してる顔」
「泣くところでもないけどな」
初めて見せてくれた表情が愛おしかった。
いつもの太陽みたいな笑顔も好きだったけれど、なんとなくこの顔の方がサラな気がした。
「いつもの笑顔はいいけど、その顔はホンマに他でしたらあかん」
「しようと思ってしてる顔じゃないですってば」
「ホンマにあかんで!」
「あはは!蒼衣さんがカワイイ」
そう言うとサラは眩しい笑顔でぎゅっとオレにしがみつく。
その小さい体で情けなくてカッコ悪いオレを全部包もうとしているように思えた。
「笑ってないと私は私じゃいられないから」
「だからもうえぇねん、それは。ダサいこと言うてごめん」
「ダサくなんてないです。だって私は全て蒼衣さんのものだって思っててほしいんですから」
再び困ったような微笑みでそう言ったサラに、俺は堪らずキスをした。
サラが全てオレのものであるように願いながら。
そしてオレ達はその夜、初めて心と身体を繋げた。
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