0人が本棚に入れています
本棚に追加
一見窓際令嬢のような服装に似つかわしくない、その背負ったリュックサックの中身はいつものごとく画材。揺するように背負い直しながら、瑞穂は機嫌が良さそうに笑う。
今日は絵を描く為に出かける。
でも探しに行くのは風景ではない。
「青だったよな」
聞くと、機嫌が良さそうな表情の眉だけを少しだけ寄せる。それほど困ってないと言わんばかりの八の字の角度。
「苦手なんだよねぇ」
踵を返した瑞穂の、ひょこひょこ揺れるリュックサックを見つめる。
外は夏色。遠く見える空も海も綺麗な青。
俺達は青色を探しに行く。
最初のコメントを投稿しよう!