惚れたもん勝ち

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惚れたもん勝ち

「沙枝ってさぁ」 「んー?」 「悠木くんと付き合ってるって本当?」  唐突な質問に、私は飲んでいたアイスティーで盛大にむせてしまった。  もちろんそんな事実など皆無だ。 「けほっ……なにそれ」 「あ、ちがうんだ。なーんだデマだったかぁ」  高校での生活にも慣れて新しい友達とも打ち解けてくると、中学で仲の良かった友達と遊びたくなるものだ。  別の高校へ行っていた葉奈とそういった理由で遊んでいる途中、彼女からいきなりそんなことを聞かれたものだから驚いた。 「なんでそんな噂が」 「駅で一緒にいるところを見かけたとかなんとか」 「同じ高校だからだよ」  誰だそんな噂を流したやつは。思わず眉根を寄せてしまい、そんな私を見た葉奈が「しかめっ面してると眉間にしわができるよ」と人差し指で眉間をぐりぐりと押してきた。 「葉奈がデマなんて信じるから」 「ごめんってー」  そもそも、付き合ってるとか以前に悠木くんとは特別仲が良いわけではない。かといって悪くもないのだけれど。  同じ小学校で、互いにお受験とは無縁だったから同じ中学へ行き、たまたま同じ高校になっただけ。
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