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※※※
「「ホリー!!!」」
突如教会に響く2つの声。
「リ、リィ…ケニー…」
「あぁ?」
入口を振り返る男。
「…ったく見張ってろっつったのに。」
…見張る?
ブツブツ言う男を一瞥した瞬間。
「リリィ!!!」
ザクッ。
甘い果物にナイフが刺さる。
そんな音が響いた。
リリィを庇って背後から串刺しにされ、倒れていくケニーがゆっくりと視界に入る。
『 ホリー、俺、ようやく学校卒業できたよ。』
『 これからは、俺が、施設でも外でも力になれるようになるから。』
力こぶを作りながらこちらに笑いかける青年の姿が、脳裏に過ぎった。
ブチッ。カチャンッ。
亡くなる瞬間まで首にしていた母さんの形見の十字架が、落ちた音がした。
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