上半身で崩し、下半身で刈るべし

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4月生まれとその11か月後の3月に生まれたことでこうも差が出来てしまうのか。あるいはシンプルに男と女という性別の差なんだろうか。いや、私のお母さんの身長の低さこそ原因の一つではなかろうか……。  この間ジュンイチと──いったいいつ以来だろうね、手をつないで帰ったわけだ。そ、それはもう付き合い始めたわけだしそういうこともしていくじゃないですか。け、健全な男女交際としてあるべき姿なのではないのでしょうか。 まぁその記憶にあった手よりもそれはずっとずっと大きくて。忌々しいことにジュンイチの一歩は私の一歩半に相当するので歩幅が合わないのだ。それに気づいてくれればいいのにあの唐変木はいつもと変わらぬペースで歩くもんだからちょっと私が遅れ気味になるわけでして。え?誰が早歩きなんてしてやるもんかそっちが合わせるべきですよ私は決して譲らないからね!そして気づいたの。あの時よりも見上げる角度が高い。 ……あれから何年が経ったんだろうね。わかってた、わかってはいたんだけど──あの時よりも差が出来てしまっていることに、私ははっきりと気づかされてしまったのだ。 「……なるほどねぇ。これが不満風惚気話というやつか死ねばいいのに」  やっぱりゴリラにはわかってもらえなかった!野生に帰れ!!     
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