上半身で崩し、下半身で刈るべし

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 手紙が入っていた──下駄箱に。このご時世になんと古風なことをする。だからこそ効果はてき面だった。放課後教室デ待ッテテ、帰ッタラ許サナイ。呪いの手紙かな?差出人は書かれてなかった。  いじめられるのではとびくびくしながらクラスの面々が一人また一人といなくなるのを眺めていて、やがて教室は私一人だけになった。ぽつねんとこの後の展開をいくつか考えていると一人の男子が教室に入ってきた。ジュンイチだった。  中学3年になって初めてクラスが別々になった。だから久しぶりに顔を合わせたことになる……。あれ久しぶりと思いながらこのタイミングで一体なんだお前、と手紙の差出人がジュンイチなどとは露ほど思っていなかった。 「久しぶり」「ひ、久しぶり」「一人か?」「う、うん……」しばしの沈黙。「あ、あの、ちょっとこの後待ち合わせがありまして用がないならちょっと教室から出てってほしいんですけど……」「俺なんだ」「?はい?」「俺なんだ手紙書いたの」「へっ?」「好きなんだ、付き合ってほしい」「はいっ?」  そしてぎゅうと抱きしめられて、最近よく話していたカトウ君と一緒にいる姿を見て焦ったとか取られるんじゃないかと思ったとか取られるっていやあの私ジュンイチのものじゃそしてぎゅうと抱きしめられて!そしてぎゅうと抱きしめられてだよ!?お前は少女漫画の登場人物か何かですか!?     
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