動きはじめた波

2/5
前へ
/21ページ
次へ
「おはようございます~」 朝から痛い程の日差し。 浜辺はもうすでに大賑わいだった。 「お待ちのおねーさん達、なにしましょ?」 ショートエプロンを掛けながらカウンターに入る。 「ねぇキミ、バイト君?かわいい?」 「おねーさん達と、遊ぶ?」 (きたーー!!) まさに、俺がこの夏、求めてたムフフなシチュ! 夏・海・水着!! 普段なら高校生てだけで相手にされないような、おねーさんと、お近づきになるために、バイトを始めたのだ。 「遊びたいっすけど、僕、バイト中なんで」 すぐに喰いつかない、様子をみる。 「えー、ちょっとだけーいいじゃん!」 「そうよ~、それにお願いもあるし」 おねーさん達はカウンターに乗り出すようにアピールしてくる。 「コレ、君に塗って欲しいんだけど?」 手にはサンオイル。 (マジか!塗るって、この身体に触っていいんだよなぁ。) 「お、お願いなら、仕方ないっすよね?昼過ぎでもいいすっか?」 「もちろん??」 「じゃ、後で迎えにくるね~」 プリプリのお尻を振りながら歩いてく後ろ姿に手を振って、小さくガッツポーズ。 (海ってサイコー!) 「・・・最低」 振り向くと、いつもの定位置に那智がいて、少し不機嫌そうに携帯をみていた。 「なんとでも言え。俺は一足先に夏を満喫して、素晴らしい思い出を作るんだ!」 鼻歌交じりに、焼きあがった焼きそばをパックに詰めていく。 「・・・ばーか」 那智の憎まれ口が聞こえたが、今度は振り向かなかった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加