3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、コレ、、、罰ゲーム?」
「罰ゲームとはなんだ!俺様のスーパーカーだぞ!」
あの後、海の家の裏にあったリアカーを自転車に結んだのだ。
俺が漕いで、那智を荷車に積んだのだ。
これは、運転するより、荷車の方が相当恥ずかしいはず。
「乗り心地サイコーだろ?」
自転車を漕ぎながら振り向いてニヤリとしてやった
まぁ、半分は那智の言う通り、罰ゲームだ。
普段からの憎まれ口と、火傷を心配して駆け寄った俺を突き飛ばした罰。
もう半分は・・・
「他人関わりたくない」
と言った女将さんの言葉。
学校でイジメにでもあったのか?
東京っていってたから、都会の高校生はエグいイジメするのか?
と、色々考えた。
俺を突き飛ばしたのも、不意に足を掴まれて驚いたのだろう。
となると、自転車に二人乗りなんて絶対無理。
で、俺の自転車がこのボロいリアカーと合体して、スーパーカーに変身を遂げた。
砂浜をそんなスーパーカーがノロノロ運転してるので、注目を浴びた。
クスクスと笑われるし、冷やかしもあったが、俺は手を振って応えた。
那智はというと、よほど恥ずかしいのだろう。
膝を抱えてる顔を伏せている。
(ざまーみろ?恥ずかしいだろ~)
「うわぁ!見て!面白そう!!」
「ほんとだ!いいなぁ!」
数人の子供がついてくる。
「げ!お前らはあっちで遊べ!」
「えー!いいじゃん!」
リアカーを子供たちが引っ張る。
「ば、バカ!引っ張るな!タダでさえ、重いのに!!」
(あ、、、しまった)
ゆっくり振り向くと、顔を上げた那智が微笑んでいた。
「や、やめろよ?マジで!」
「このおにーさん、すごいチカラ持ちなんだよ?みんな、乗っても平気だって~!」
「げ!!」
子供たちが我先にとリアカーに乗り込んでくる。
「ちょ、マジ、勘弁って!」
「ほら、遅いぞ!」
那智が言うと次々に子供たちもけしかけてくる。
リアカーの中で子供に紛れて、大笑いしてる那智。
「、、、、仕方ないなぁ!落ちんなよ!お荷物ども!」
(今の笑顔は、半分くらいは俺に向けられたのかな?)
最初のコメントを投稿しよう!