動きはじめた波

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「ねぇ、コレ、、、罰ゲーム?」 「罰ゲームとはなんだ!俺様のスーパーカーだぞ!」 あの後、海の家の裏にあったリアカーを自転車に結んだのだ。 俺が漕いで、那智を荷車に積んだのだ。 これは、運転するより、荷車の方が相当恥ずかしいはず。 「乗り心地サイコーだろ?」 自転車を漕ぎながら振り向いてニヤリとしてやった まぁ、半分は那智の言う通り、罰ゲームだ。 普段からの憎まれ口と、火傷を心配して駆け寄った俺を突き飛ばした罰。 もう半分は・・・ 「他人関わりたくない」 と言った女将さんの言葉。 学校でイジメにでもあったのか? 東京っていってたから、都会の高校生はエグいイジメするのか? と、色々考えた。 俺を突き飛ばしたのも、不意に足を掴まれて驚いたのだろう。 となると、自転車に二人乗りなんて絶対無理。 で、俺の自転車がこのボロいリアカーと合体して、スーパーカーに変身を遂げた。 砂浜をそんなスーパーカーがノロノロ運転してるので、注目を浴びた。 クスクスと笑われるし、冷やかしもあったが、俺は手を振って応えた。 那智はというと、よほど恥ずかしいのだろう。 膝を抱えてる顔を伏せている。 (ざまーみろ?恥ずかしいだろ~) 「うわぁ!見て!面白そう!!」 「ほんとだ!いいなぁ!」 数人の子供がついてくる。 「げ!お前らはあっちで遊べ!」 「えー!いいじゃん!」 リアカーを子供たちが引っ張る。 「ば、バカ!引っ張るな!タダでさえ、重いのに!!」 (あ、、、しまった) ゆっくり振り向くと、顔を上げた那智が微笑んでいた。 「や、やめろよ?マジで!」 「このおにーさん、すごいチカラ持ちなんだよ?みんな、乗っても平気だって~!」 「げ!!」 子供たちが我先にとリアカーに乗り込んでくる。 「ちょ、マジ、勘弁って!」 「ほら、遅いぞ!」 那智が言うと次々に子供たちもけしかけてくる。 リアカーの中で子供に紛れて、大笑いしてる那智。 「、、、、仕方ないなぁ!落ちんなよ!お荷物ども!」 (今の笑顔は、半分くらいは俺に向けられたのかな?)
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