第4回   イージェンと月光の戦姫《いくさひめ》(上)(3)

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 王宮も見るも無残なありさまだ。先日見た、丘陵に点在する頑強で重々しい宮城はほとんどなくなっていた。丘もかなりの部分抉られている。もちろん、街の様子など見ていられないほどだ。  魔導師学院の丸屋根もなくなっている。おおむね、その当たりだったところに降りていった。すっと降り立った大柄な灰色の外套姿に、忙しく動き回っていたものたちが足を止めた。近くにいたものに尋ねた。 「学院長はどこだ」  魔導師のひとりだろうが、首を振ってあわててどこかに走っていく。すぐにレスキリがやってきた。 「ああ、大魔導師様、よう来て下さいました!」  両膝をついてお辞儀した。 「挨拶なんかいい、学院長はどうしたんだ」  レスキリが困った顔でイージェンを見上げた。 「それが…」  言いよどんでいると、レスキリの後にリュドヴィク王が立った。呆然とした顔をし、戸惑ったような声でつぶやいた。 「大魔導師…殿…」
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