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王宮も見るも無残なありさまだ。先日見た、丘陵に点在する頑強で重々しい宮城はほとんどなくなっていた。丘もかなりの部分抉られている。もちろん、街の様子など見ていられないほどだ。
魔導師学院の丸屋根もなくなっている。おおむね、その当たりだったところに降りていった。すっと降り立った大柄な灰色の外套姿に、忙しく動き回っていたものたちが足を止めた。近くにいたものに尋ねた。
「学院長はどこだ」
魔導師のひとりだろうが、首を振ってあわててどこかに走っていく。すぐにレスキリがやってきた。
「ああ、大魔導師様、よう来て下さいました!」
両膝をついてお辞儀した。
「挨拶なんかいい、学院長はどうしたんだ」
レスキリが困った顔でイージェンを見上げた。
「それが…」
言いよどんでいると、レスキリの後にリュドヴィク王が立った。呆然とした顔をし、戸惑ったような声でつぶやいた。
「大魔導師…殿…」
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