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第4回 イージェンと月光の戦姫《いくさひめ》(上)(3)
「わたしはリギルト、アルバロ学院長とは、どういう知り合いだ」
かなり年のようだ。灰色の髪は白髪になりかけているのだろう。穏やかな感じだった。何人か魔導師は知っていたが、この男は初めて見る顔だった。
「ナルヴィク高地で『災厄』があったときに知り合いました。前の学院長だったダルウェル様も知っています」
ダルウェルの名を聞いて目を見開いた。
「そうか、あのときに」
しばらく口をぐっと結んでいたが、なにを話したいのか尋ねた。
「それは、学院長様に直接話します」
リギルトが部隊長たちに外に出るよう命じた。ふたりは頭を下げて出て行った。
「ヒト払いしたが、それでも話せないか」
ルキアスがうなずいた。ふぅむと悩ましげなため息をついてから、腕組みした。
「ウティレ=ユハニの王都から逃げてきたということだが、異端の攻撃、見たのか」
異端の攻撃から逃げてきたというので、魔導師を呼んできたのだろう。巡回中か、もしくは異端警戒のためにいたのではないか。
「見ました、鋼鉄の馬車に大筒を積んでいて、それで光る弾を街にたくさん撃ち込んできました。それと、鋼鉄の鳥のようなものが空からたくさん弾を落としてました。あんなに恐ろしいこと、初めて見ました」
王都の外からだが、その様子はしっかりと見ていた。リギルトがルキアスの縄を解いた。
ありがとうと、深く頭を下げた。
「ダルウェルは一の大陸に行ってしまったぞ」
「はい、知ってます、カーティアの学院長様になりにいくって」
ウティレ=ユハニで会ったときに聞いたと聞き、リギルトはますます驚いた様子だった。
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