苦の粉

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

苦の粉

 サイコパスは、苦しんでいる。  やばい、ヤバい、マジ……ヤバすぎる。  今までオレもいろいろな粉に手を出してきたけど、こいつはヤバすぎるぜ。  なんてったって、中毒性も快楽もないのに、苦しみだけは襲ってきやがる。  吸ってる感覚がなくても勝手に体の中に入ってくるし、制御もできやしない。  幻覚、幻聴、そんな普通の現象は起きやしない。  こんなにヤバい粉が世の中にあったなんて……正直驚きだな。  こんなもん、使い方によっちゃ、テロに使えんじゃないか……?  戦争だって起こせそうな勢いだぜ!    ……いや、待てよ。  噂によると、この粉、実は金よりも高値で取引されているらしい。  だったらこの粉、たくさん集めて荒稼ぎできるじゃねえか!?  ……いや、ちょっと待て。……やっぱり無理だ……。  この粉を調達するだけで、俺の体は悲鳴を上げるに違いない。目を開けておくのも辛いし、痒いは、ズルズルだわで……死んでしまう。  サイコパスは、苦痛の色を浮かべながら、ティッシュに飛びついた。  ――ハックション……!!  ……だめだわ……花粉症。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!