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園田浩貴(そのだひろたか)は、情交のあとの心地よい余韻とまだ整わない息のもと、
「大丈夫か? 翔多(しょうた)」
隣でぐったりと横たわる恋人へ声をかけた。
「大丈夫じゃない……。すごく、痛い」
枕に半ば顔をうずめたまま、翔多の大きな瞳が睨んでくる。
「なんかさー、浩貴、回を重ねるごとに遠慮なくなってきてない? あんなに激しくされると、明日の体育に響くだろ? キスマークもこーんなにいっぱいつけてくれちゃってさー」
「……ごめんな」
浩貴とて愛し合う行為が、翔多に少なからずの負担を強いていることは承知しているつもりだ。
でも、いったん行為になだれ込んでしまうと、翔多は魅力的過ぎて抑えがきかなくなる。
心も体も翔多を求めて加速して止まらなくなってしまうのだ。
二人がまだ普通の親友同士だった頃が、遠い昔のことのように思えてならない。実際は二人が友情の一線を越え、恋人関係になってから、それほど月日は経っていないのだが。
浩貴が二人のなれ初めなどをつらつらと思いだしている隣で、翔多はまだぶつぶつと文句を言っている。
「大体さー、オレのほうが下っていうか、女役なのはなんで?」
翔多はだるそうにベッドで半身を起こすと、浩貴と視線を合わせて聞いてきた。いつ見ても大きな瞳が愛くるしい。
胸元に浩貴がつけたキスのあとが何とも色っぽかった。
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