12人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
はらはらと風に舞う落ち葉を見ながら、ふと、思い出す。
春、マコとケイタと散歩に来た時には桜が咲いていた。
風が吹くと花びらが散って、きれいだった。
花びらを捕まえようとしてら、マコに笑われたっけ。
もう少し先に行くと、菜の花畑があったな。
今はもう、菜の花は咲いていない。
僕がそこをめがけて一目散に駆け出したら、マコも全速力で追ってきてはぁはぁいってたな。
ケイタは笑ってたけど、猫に勝とうなんて百年早いよ。
リードをつけなくても、僕はマコのそばからいなくなったりなんかしなかったから、いつも自由にさせてもらった。
それでもお互いにちゃんと気配を探してた。
公園に捨てられていた僕を拾って、動物病院に連れてってくれて、それからアパートも引っ越して。
マコと出会ってからもうすぐ3年がたつ。
長いような短いような……うーん、どっちだろう。
風が、さぁっと吹いてきて土や落ち葉の匂いがより濃く感じられる。
陽射しが暖かい。
『ルカ』
見上げた空に、マコと、それからすっかり見慣れてしまったケイタの顔も思い描いた。
そういえばここしばらくケイタには会っていないなとふと思った。
最初のコメントを投稿しよう!