プロローグ

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その日の夜からに、みみにどうしてそんな音が聞こえたのか詳しく聞くことになった。みみの方はメイに聞かれるまで、自分のその能力が当たり前のものだと思っていたらしく、かなり驚いたようすだった。しかしメイはみみを病院に連れて行くことはしなかった。もちろん、研究機関にもだ。我が子を危険に晒すことになる危険性を考えたと言うのももちろんあるが、実はメイにも誰にもいえない不思議な力があった。ちなみにそのことはみみには伝えていない。20歳になったらと彼女が生まれた時から決めていた。 そんなみみは、人の心に敏感ながらも芯の強い性格だった。小さい頃は思ったことをなんでも言ってしまうような子だったが、大きくなるにつれて口数が減り、周りと合わない様子だった。母であるメイとはよく話すが、学校ではいつも大人しくて担任から電話がかかってくることも良くあった。家庭ではどんな様子ですか?問題はないのですが、お友達と仲良く遊んでるところをあまり見なくて…などといわれた。メイはいじめを疑って、それとなくみみに理由を聞いてみた。「みみがなんでも知ってるからこわいってみんな言うの。一回怒った時に間違えて私が知らないはずのこと話しちゃったんだよねん。知ってることを知らないふりするのって難しいんだもん」とあっけらかんと言われた。なるほど、そりゃ孤立するわな…と思ったが、ありのままの事情を先生に説明したらそれはそれで親子共々頭がイカれていると思われる。誰にでも隠しておきたいことはある。みみにうっかりがあるうちは誤魔化していくしかないか…。バレないように気をつけること、そして本当に信用できると思う人とだけ仲良くなりなさい。それまでは無理に誰かと仲良くする必要はないわ。と言ってたくさんの本を買い与えた。 小学生時代のみみには、友達と言えるような人は1人もいなかった。
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