第1章 入学式

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そのまま桜の雨を眺めて歩いていくと日当たりの良すぎる校門に着く。そこには一年生のクラス表が張り出されている。私の名前「夜飼みみ」はだいたい「渡辺」さんとか「和田」さんとかの前。だいたい後ろから2番目になることが多いからその辺を探す。 クラス数は全部で8クラス。1組から5組が2階で、6組から8組は1階にあるらしい。楽だから1階がいいなと思い、8組から見ていく。あまりに早く着きすぎたせいで、その時間に同じようにクラス表を見ている生徒は5、6人しかいなかった。8組…ない。7組…ないな。6組…あ、いっちゃん最後なのねん。ふむふむとしながら6組40番の下駄箱に新しいローファを入れて左かかとを確認。うん、予想通りの靴擦れ具合ですね。チガデテル。まあいいか。ばんそこ貼っとこ。新しい上履きのかかとを靴擦れの傷に当てないように踏んで歩く。左足だけ足が大きいのか、歩き方の問題なのかいつも靴擦れするのは左だけだった。音楽を聞きながら歩いてきたが、新しいお友達を作るためにイヤホンを外す。さぁ、話しかけてきてもいいのよ。と言わんばかりに、すれ違う人に心の中で挨拶をするが、急いで走っている人だったり、下を向いて歩いていたり、スマホをいじっていたりで話しかけられるどころか誰とも目が合わない。新入生らしき人はみんな心拍数早いな。緊張するよねそりゃ…わかるわかる。と勝手に同調していたら6組を通り過ぎて七組の教室の真ん中あたりまで来ていた。ありゃ、これは恥ずいやん。ちょっと用事を思い出した風に後ろを振り向き、誰も見てないことを確認。足早に前のドアから6組に入り、ミッション達成!と、そこには先客が3名。男子2人に女子1人。よし、女子。と標的を確認、次のミッションへ移行した。
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