50人が本棚に入れています
本棚に追加
「一応言っておくけど、声出したり暴れたりしたら大変なことになるからね…」
しのぶちゃんは私の耳に口を近づけてすごく低い大人のような声で言った。「…奈津美ちゃんってタケシ君の下の弟と同じクラスなんだってね。そう言えばタケシ君、さっき弟のとこに行くって出ていったけど…今頃、奈津美ちゃんと一緒だったりして…」
…わけがわからない。どういうこと?
「ほらほら、動かないで…奈津美ちゃんに何かあったら大変でしょ。」
噛まされていた布が一旦解かれた…けどすかさず口にスカーフが押し込まれてくる…あっという間に私の口の中は元々詰められていた布と新しいスカーフで奥歯の間から舌の裏まで隙間なく布が詰められてしまった。
「苦しいでしょ。でもまだこんなもんじゃないのよ。」
そう言いながらしのぶちゃんはこぶを作った手ぬぐいを私に噛ませる。スカーフが喉に押し込まれまた吐きそうになる。苦しくって涙が込み上げてくる…お構いなしにしのぶちゃんは手ぬぐいを私の頭の後ろで力いっぱいしごいて結ぶ…
「ユキちゃん。いい子でちゅね…」しのぶちゃんはクスクス笑っている。「なっちゃんもいい子にしてるかなぁ…」私の目をじっと覗きこんでくる…
…私は妹の奈津美を何回かこのゲームに誘ったことがある。だから妹はタケシ君の顔も良く知っているはずだ。奈津美なんか巻き込むんじゃなかった…私はすごく後悔していた。
それにしてもやっぱり変だ。しのぶちゃんにこんなことできるわけない…
一気に不安になった私は力いっぱい体をもがいた…でも思っていた以上に全然動けない。
奈津美に何をするつもりなの!…そう叫んだつもりの私の声も全部布に吸い取られて小さなうめき声にしかならない。
…気がつくと小屋の奥の暗がりでしのぶちゃんのお兄ちゃんがじっとこっちの様子を見ている…
…お願い。もう縄を解いて!お家に帰して!
怖くて涙が込み上げてきた。
「暴れたり声を出したりしたら大変なことになるって言っておいたよね。」
しのぶちゃんが新しく手ぬぐいを取り出すのが見えた…
「やっぱりもっときつくしなきゃだめみたいね。」
広げた手ぬぐいが顔に近づいてくる…いやだよ。お願いもうやめて…
「…言うこと聞かなかった罰よ。可哀想にね…」
首を振ってもがいたけどむだだった。鼻、口、あごまで手ぬぐいでおおわれギチギチに締めあげられてしまう…苦しいよ…しのぶちゃん、もうゆるして…
最初のコメントを投稿しよう!