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…しのぶちゃんは更に何かを取り出そうとしている。私は息もできないくらいきつくさるぐつわをされて、全身を縛られてその上柱に縛り付けられてもがくことさえできないのにまだ何かする気なの?
「暴れたら大変なことになるよって言ってもわからない子には身を持ってわからせるしかないもの…」
私の目の前に縄とびの縄をかざしてみせるといきなり首に巻き付けてくる。私はそれまで気がついていなかった…そうなんだよね、私今、何されても逃げられないんだよね…それどころか抵抗することさえできない…
「大丈夫、殺したりしないよ。でも暴れて首が締まったら死んじゃうかもね…今、ちゃんと注意したからね。暴れたら死んじゃうかもって。」
しのぶちゃんは縄の両端を柱の上のほうにつないだらしい…首が上に引っ張られてじっと体をまっすぐにしていないと首が締まりそうだ。
しのぶちゃんは柱ごと後ろから抱くようにして両方の腕で私のあばら骨を締め上げる…ああ…息が…息が…と思った瞬間腕の力が弛む。
再びしのぶちゃんの腕が締め付けて来る…段々締め付けがきつくなる…時間も長くなる…息が…息が…吸えない…もう…ダメ…と思った瞬間にまた力が弛む…
しのぶちゃんの腕はまるで蛇のように私を締め上げて来る…
私はされるがまま…抵抗することも拒否することも出来ない。
十何回目かの締め付けの時、とうとうしのぶちゃんは私のあばらだけでなくさるぐつわで塞がれた口を直接手のひらで塞いできた。胸を強く締め付けられていて肺の中には元々空気があまり入っていないのに、その上に鼻と口を塞がれてしまったので本当に呼吸が出来なくなってしまった。苦しいよ…助けて…
私は縛られた体を必死で身もだえしてしのぶちゃんから逃れようとした。けれどそうすると首に掛けられた縄が締まって来る…どんな抵抗をしても無駄だった。懸命に息を吸おうとして喉の筋肉がつりそうになる…頭ががんがんしてきた…力が入らない…もう駄目だ…
私はその時、ふっと思った。鬼ごっこで鬼に捕まりそうになった瞬間、あきらめて力を抜いて走るのを止めるあの一瞬の安らぎに似た解放感…あれに似てるな…
私は全身の力を抜いてしのぶちゃんに体をまかせた。
その瞬間、しびれたような快感が全身を包むのを遠くなる意識の中で感じた…
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