はじめての遅刻

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はじめての遅刻

 ヤバいよぉ。  ヤバいなんてもんじゃないよ。もうほぼ負け確だよ。  八時前には家を出なきゃいけないのに。  八時半にはチャイムが鳴りだすのに。  今はもう八時十五分だもん。  ここから高校までは徒歩二十五分。  道中に上り坂多数有りだよ。  毎日通ってる道だもん、それぐらい知ってるよ。  このままじゃ遅刻しちゃう。  高校に入って一年と六ヶ月。  はじめて遅刻が付いちゃうよ。  それに、チャイムが鳴ったら北條先輩におはようって言えない……。  北条先輩……。  風紀委員だから、服装や遅刻者のチェックのために毎朝校門のところに立ってるんだよね。  一体なん時に登校してるんだろ。  凄いなぁ、先輩は。  それにカッコいいんだ。  初めて見たのは、一年の時。  その時先輩は二年生で、まだ委員長じゃなかったけど。  ちょっと怖そうだったから、そのまま通り過ぎちゃえってしたんだけど……。  おはようございますって大声で言われたの。  ビックリしたから思わず、おはようございますって大きな声で返事しちゃって。  そしたらいい挨拶ですねって。  その笑顔がもう……。    あー、私のバカバカ。  なんで目覚ましが午前三時に鳴ったのかなぁ。  設定ミスったんだろうなぁ。  それしか考えられないもん。  その後、そのまま寝ちゃったのが不味かったんだよねぇ。  朝から世界が闇に閉ざされた気分だよ。  
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