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翌日、コロンバはヤコブ神父を連れて良?宮にやってきた。
二人の夫人は神父がわざわざ、それも危険を冒して訪ねて来てくれたことを深く感謝した。
二人はコロンバと侍女と数人の宮女が見守る中で洗礼を受けた。洗礼名は二人の希望で
同じマリアとした。聖母マリアを敬愛してのことだった。
天主の弟子として生まれ変わった二人は、その後も変わりない日々を送った。そのことに不満はもちろんなかったが、ささやかな望みが芽生えた。他の教友たちと共に礼拝に参席したり、明道会の会員たちと直に交流することであった。
このことをコロンバに伝えたところ、なんとすべてを叶えてくれたのであった。
彼女は申夫人を連れ出して自宅で行われるミサに参加出来るようにし、また明道会の勉強会にも出席できるように手配したのである。
身分、年齢、性別を越えて信徒たちが集まって行われるミサに申夫人は感心し、また、これだけ多くの教友が存在することを心強く思うのだった。明道会の学習会ではこれまで学んだことを更に深めることが出来た。
申夫人は姑にこれらのことを全て伝えた。縣夫人は間接的ながらもミサや明道会の様子について知ることが出来てとても喜んだ。
いっぽう、一般の教徒たちも王族の婦人がミサに来たことに励まされ、明道会の人々は婦人の身でありながらも深く教理を理解している夫人に感嘆し敬意を抱いたのであった。
この三回の“外出”は、少女時代に嫁いでから宮外に出られなかった申夫人に外の世界と触れられる機会にもなった。天主教の行事という限られたものであったが、彼女の人生の良き思い出の一つになったことだろう。
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