始まりは困惑の朝焼け

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始まりは困惑の朝焼け

【2】  「あああっ」   自分が叫んだ悲鳴で目が覚めた。ベットの上で上半身を起こした僕は荒い息を吐いた。べっとりとした嫌な汗をTシャツが吸って体に張り付いている。意識がはっきりとしない。 呆然とした気持ちであたりを見回す。見慣れた自分の部屋だった。夢……か。そう気が付いた時、今度は安堵の長い息を吐いた。嫌な夢だった。夢の内容はすでに頭にもやが掛かっているかのように思い出すことができない。  ただ、嫌な夢だったという記憶だけが心の中に残っている。 「う……ん」  すぐ横から声が聞こえて人が動く気配がする。星野透子。僕の婚約者が眠そうに目をこすりながら体を起こすところだった。 「おはよう」  寝起きの声で挨拶をしてくる。
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