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少し間を空けて、萌ちゃんがまた口を開いた。
「何で交換日記を渡さなかったの？」
めげずに付き合ってくれる萌ちゃんの忍耐強さが尊い。
そしてそんな萌ちゃんに、私のろくでもなさを打ち明けるのがツラい。
「他の男の子と話しているのが聞こえちゃって…面倒臭いって…」
「何だソレ、酷いなっ」
明快に憤る素直な萌ちゃん。
彼女の眩しさを、私は直視できない。
勿論嘘は全くない。事実の通りだ。ただ。
「本人と直接話したわけじゃないの。私がその後、勝手に南田君を避けちゃったの」
「…後悔、してるんだ？」
自己完結して一方的に強制終了したことを咎められる可能性ばかり考えていたため、苦しそうな表情を私に向けてくれる萌ちゃんの意図がなかなか読み取れない。
「南田君とのコト、ちゃんとしたいんでしょう？」
「ちゃんと、なんて…そんな、でももう」
“もう南田くんは、私のことなんて気にしてない”
浮かんだ言葉が自分でも卑屈すぎると感じて、最後まで発声せず、口を閉ざす。
「もう、終わったことだから」
「終わってないじゃん」
萌ちゃんの瞳は、どこまでもまっすぐで強かった。
そして、優しい。
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