その白い世界の中で

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「…ということがあったのよねぇ」 しみじみとしながら言う私に、男の子は顔を真っ赤にしながら、慌てたようなそぶりを見せる。 「なあんだ。やっぱりあのはじめてのナンパはわざとだったの」 男の子の横の席で声をあげるのは、あのときの彼女。 「そうそう、でもおかげで私あれからクラスに馴染めるようになったんだよね」 いいやつじゃん、とニヤニヤしながらつつかれて、彼はますます顔を赤らめる。 「あー、もう、どうでもいいだろ!」 照れたのか前を向いてしまう彼に、私と彼女は顔を見合せて笑う。 真っ白い世界はもう見えない。 今ではキラキラ、虹色に輝いてる私のまわり。 白い世界にはじめて一筆色を塗ってくれた彼には、いまでもとても感謝している。 そして彼が、世界に色をくれただけじゃなく、私の心の中をほんのり桜色に染めてくれているのは、まだまだ彼には内緒です。
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