その白い世界の中で

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「え?え?」 突然の事に私は動揺して、その手から逃れるように身を離す。 「あ、ごめんごめん。呼んでも気づかなかったからさ。 ね、その小説好きなの?俺も好きなんだ」 彼が私の机に肘をついて、私が持っている小説をちょいちょいと指差す。 「…うん」 「その作者面白いよね。最後がいつもよめないってか、展開がつかめないってか。なあ」 彼が隣の席に座っていた女の子に同意を求めると、その子は「ん?」というような表情で振り向くと、私と彼を見比べる。 「なに、小説を使ってナンパしてるの?」 「はあ、違うって。そんな事ないない」 「そうかなあ、なんか変なことされなかった?」 彼女の問いに私はブンブンと首をふった。
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