その白い世界の中で

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なんだろう。 私は指でそっとそれを開いてみる。 するとそこには、一言だけこう書かれていた。 『話せて、よかったな』 話せてよかった? そこで、私ははっ、とする。 彼はもしかしたら、私が誰かと話すきっかけを作ってくれたのだろうか。 自分がわざと話しかける事で、私に繋がりを作ろうとしてくれたのだろうか。 偶然ではなく、必然的に。 私はメモをぐっと握りしめながら、前の席の彼の背中を見つめる。 モノクロの世界の中で、彼だけがほんのり色づいた気がした。
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