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小学5年生 3
学校を出ると、一目散に家に帰った。
なぜなら、今日は月曜日。
唯一、月曜日だけが、5時間授業で早く学校から帰れる日だからだ。
家に帰ると、ランドセルを自分の部屋の机に置いて、すぐに家を出た。
自転車に乗り、風を切って走る。
ひかりが急いで向かう場所は、もちろん、曽木発電所遺構だ。
「睦君、いる?」
曽木発電所遺構に着くと、大きな声で呼びかけた。
「やぁ、ひかりちゃん。会いに来てくれたのかい?」
建物の脇からそっと、現れた。
「せっかく友達になれたし。それにね、睦君はここに引っ越して初めてのお友達なの。」
睦君にもう一度会う、それは奇跡に近いとひかりは、思っていた。
きちんと約束したわけでもないから、睦君ここにいる保障はない。
睦君に会うためには、もう一度、偶然に会う必要がある。そんなの無理だ。
これがひかりの結論だった。
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