小学5年生 3

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夕方近くなると、帰らなければいけない時間を、気にしなくちゃいけなくなる。 途端に、寂しく感じてしまう。 「もうすぐ、帰らないといけないな。」 ひかりは視線を地面に落とした。 「ひかりちゃんを待っている人が心配するから、時間になったら帰らないといけないね。」 優しい微笑みをたたえて、音を吸い取るような澄んだ視線を向けて、睦君が言った。 睦君の眼差しは、どうして澄み切っているように見えるんだろう? ひかりは不思議だった。 迷いや不安と言った感情は元々持っていないといった感じで、それでいて、神秘的で何らかの意志を含んでいるような強さもある。 もしかしたら、ひかりとは見えているものが違うのかも知れない。 そう思えてくる。 「わかってる。・・睦君、これってデートみたいだよね?」 ひかりの問いかけを受けて、睦君は困った顔をした。 「デートって、どういう意味なの?」 睦君の戸惑うような仕草に、可笑しさがこみ上げた。 そんなひかりを見ながら、睦君の顔もほころぶ。 「気になる子と二人で遊ぶこと、だよ。」 「それをデートって言うんだね。」 「そうだよ。」 地上に戻って来た太陽が、二人の笑顔をオレンジ色に照らし出した。 ひかりは、ごく普通の振舞いをした睦君に触れて大満足だった。
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