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小学5年生 5
「行ってきます。」
夏休みに入ってから、午前中は美奈子ちゃんの家のお手伝いへ行く。
「美奈子ちゃんに、よろしくね。暑くて、具合が悪くなったら、休憩するのよ。
かえって、相手に迷惑になってしまうから。」
母は、熱中症の心配をしているようだ。
以前住んでいた街よりも、伊佐市は幾分過ごしやすい。
母の言葉を軽く受けがして、家を出た。
美奈子ちゃんの家は、城下公民館の先にあり、ここから自転車で5分くらい。
広大なかぼちゃ畑を初めて見た時、びっくりした。
ひかりが想像していた以上の広さだった。
「すごい。畑がどこまでも続いているように見えるね。」
ひかりの嬉しそうな声が響いた。
背丈の低いかぼちゃ畑では、真っ青な空が広く、高く感じた。
土の匂いを鼻で吸い込み、大きく深呼吸した。
見るもの、聞くもの全てが新鮮だった。
「ひかりちゃんは、畑が珍しいのね。」
美奈子ちゃんのお母さんが、目を細めながら言った。
「それじゃ、始めようかしらね、ひかりちゃん?」
「はい!」
「このヘタに、茶色い筋が入っているものを取ってね。」
「はい!おばさん。これなんか、どうですか?」
「そう、そう、いいよ。その調子。」
「はい!」
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